312854 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

chapter11

LastGuardianIIStarting Stars

chapter11「Last moment」

レドナ「エンフィ、聞こえるか・・・・。
    10分で蹴り付ける」
エンフィ「え、どうしたの?
     レド君~!?」

その言葉を最後に、レドナは通信を切った。
なお、放送についても、すでに切り離し作業が完了しきっているため使えない。

カース「全力で行くぞ。
    来い!アズファスタの黒衣!!」

カースの身に、漆黒の衣服がつく。

レドナ「お前はぜってーぶっ潰す・・・ヒィリスの敵だ!!」

大剣を力強く構える。
そして、胸の奥底から怒りが湧き出てくる。

カース「デルバルス、カートリッジロード!!」
レドナ「グリュンヒル、レムリアチャージ!!」

緋色、蒼色の刃がレムリアを帯びる。
刹那、鋭い刃同志がぶつかり合い火花を散らす。
2人とも、己の大剣を力強く握り締める。
鍔迫り合いは数秒で終り、後ろに下がる。
すぐさまレドナは左足を軸に回転し、遠心力付きの斬撃を浴びせる。
咄嗟にカースは側転し、それを回避する。

レドナ「今お前がここにいるってことは、ガブリエルと一枚咬んでるんだな」
カース「あぁ、それだけじゃないさ。
    あの"はやて"とかいう少女にも」
レドナ「なっ!?」

突然、カースの口から出た"はやて"と言うワードにレドナの力が一瞬抜ける。
身を低くしていたカースは、デルバルスのみを振り上げる。
それを、グリュンヒル・キルブレイクを盾代わりにし、防ぐ。
その間にカースは立ち上がり、空いたレドナの腹部に強烈な蹴りを入れた。

レドナ「ぐぅっ!!!」

長い通路の端まで、一気に蹴り飛ばされる。
背中全体が痛む。
歯を食いしばり、目を開けると目の前にカースが立っていた。
額には、デルバルスの刃が突きつけられている。

レドナ「・・・・くっ」
カース「はははっ、彼女の名前を出しただけで気が緩むとはな。
    お前とは、いい戦友にもなれそうになかったな」
レドナ「な、何が言いたい・・・・」

レドナは見下すカースを睨みつけながら言った。

カース「ブレイク・フォース・ブレイド・・・BFB事件を惚ける気か?
    お前の所為で、作戦は大失敗だ!!」

カースがレドナの顔を思いっきり蹴る。
頭を強く床にぶつけたレドナ。
口から血が流れる。

レドナ「いま・・・さら、言い訳する気はねぇ・・・ゲホッ。
    でも、俺は間違っ・・・・た、ことはして―――ぐぅぁっ!!」

言い終える前に、再びレドナの腹部にカースの蹴りが入る。

カース「フォース・ブレイドの彼らが、あんなことをするわけないだろ!!
    お前は、反エクステンドの内部攪乱が目的だったんだろう!?」

倒れているレドナの髪を強く引っ張り、体を起こさせる。

カース「まぁ、いい・・・・・。
    お前はここで、俺が殺す!!」

レドナの髪を掴んでいた右手を離し、両手でデルバルスを構える。
思いっきり振り上げた刹那、

シュレス「いけぇっ!ブラストルブレイバー!!」

レドナの頭上を銀色の刃が駆け抜ける。
カースも、振り上げたデルバルスを下ろす前に、後ろに下がる。

カース「お前の剣の威力は知っている。
    俺に勝てるはずがない!」
シュレス「チェーンブレイバーと一緒にされては困るな」

伸びた、鞭上のブラストルブレイバーに、所々ある刃の一部が開き、砲門と化す。
赤い閃光が、数十本放たれる。

カース「!?」

すぐに、デルバルスを盾代わりにその閃光を受け止める。
次に、カースが目を開けたときには、目の前にもう1人の少女が居た。

シルビア「唸れぇっ!!マグナムファイゼン!!」

握り締めたハンマーが、カースのデルバルスに直撃する。
すると、ハンマーの平らな部分から、巨大な重力の球体が現れた。
重力で、カースが少しよろめく。

カース「ぐっ!!」

カースは急いで移動魔法を展開し、そこに入って行った。
数秒のうち、カースは消えていった。

シュレス「大丈夫か、レドナ?」
シルビア「ったく、なさけねぇーな」
レドナ「・・・・さ、サンキュー・・・」

シュレスとシルビアの手を握り、レドナは立ち上がった。
その光景は、敵同士だった、という過去形を強く表現している化のようだった。

シュレス「礼はいい、こちらも礼を言う立場だからな」

そう言うと、2人は新たな武器を構えて、見た。
ブラストルブレイバーと、マグナムファイゼン。
どちらも、レドナが2人に使うための最終兵器であった。
開発はエンフィ、データ提供はレドナがしている。
しかし、今味方となった2人にこの武器はレドナにとって不必要なものだった。

シルビア「ほら、はやく行くぜ」

そう言って、シルビアが駆け出す。
それに、シュレスとレドナは頷き、後を追った。

主犯格である、カースが撤退した所為か、残りのガブリエルは少なかった。
攻撃以外には無能であるガブリエルに、意思が少しあるのかもしれない。
カースに捨てられた、という意思が。
しかし、そんなことを考える余地もなく、3人はガブリエルという存在を1つずつ消していった。

30分もしないうちに、ステーション内部のガブリエルは全部消滅した。
3人は司令室に戻る。
司令室には、シーフォ、エンフィ、サユ、はやての他に、フィーノ、ヴァルニスも居た。

エンフィ「おっ疲れ~!」
サユ「お疲れ様です、内部の敵、全滅しました」

嬉しそうに、エンフィが言い、またもや無表情でサユが言う。
モニターに映る、ステーションのマップ上にガブリエルの反応は無かった。

レドナ「さっきのガブリエル、反エクステンドが関与していた。
    ゲートを逆探知されたに違いない」

戦闘を通して分かったことをレドナが言う。

シーフォ「また来る、だから今のうちに反エクステンドを叩こう、という事かしら?」
ヴァルニス「レドナの言うとおりだとすれば、そうするしかないな」

腕を組みなおし、ヴァルニスが言う。

フィーノ「ですけど、このメンバーで反エクステンド機関は倒せるんでしょうか・・・?」
エンフィ「敵の本拠地だからねぇ、今以上のガブリエルがわんさかいるかも」
レドナ「倒せるかどうか分からなくても、倒すしかねぇ。
    それに、こっちには頼れる仲間も増えたんだ」

不安そうに言う2人に反論し、レドナははやて達を見た。

はやて「ヒィリスの・・・・ヒィリスの仇も取らなあかん。
    せやから、ウチらも戦うよ!」

真剣な表情で、はやてが力強く言う。

シーフォ「決まりのようね。
     サユ、全員分の転送ゲート、開けそう?」
サユ「こうなることは推測できていましたので、2分前から準備完了です」
エンフィ「さっすがサユ~!」

エンフィが、サユの肩をポンポンと叩く。
少し困った表情だが、少し嬉しげにサユの表情が変わった。

ヴァルニス「カエデとも、戦うことになるんだよな・・・・」
レドナ「あぁ・・・・それでも、俺たちは大事なもの背負って戦っているんだ。
    誰にも譲れないものを背負って、だから戦うしかない――」

うつむいて、レドナは言った。
実際、一番カエデと戦うことが辛いのは、レドナ自信だった。
幼い頃からの戦友、幼い頃から自分を見ていてくれたカエデに、刃を向ける事。
それを飲み込んだレドナの心は、怒りに飲み込まれた物ではなかった。
自分の意思を貫き通すという、正義に飲み込まれた心だった。


一方、反エクステンドステーションでは。

カース「奴等は、必ずここを攻めに来るだろう」

回復魔法で、傷を癒しながらカースが言う。

ザルバ「そのようだな、戦闘準備はもう整っている」
エルザ「今度こそ、ぜぇ~ったいにアイツをボッコボコにしてやるっ!」
クロム「おっす!!」

2人とも、戦意が高まっていた。
しかし、2人うつむいている人物が居た。
その人物に、ザルバが声をかける。

ザルバ「今回の最終防衛ラインはカエデ。
    遠距離魔力支援はロクサスに任せるぞ」
カエデ「・・・・・」
ロクサス「・・・・・」

戦う相手が、自分にとって誰なのかを考えると、2人は頷くことはできなかった。

カース「カエデ、ロクサス、また反逆者のことを考えているんだろ。
    お前達は、何故反エクステンドに入った?
    エクステンドのやり方には賛同できないからだろう?」
カエデ「でも・・・・・現実は違った。
    悪い人たちばかりじゃ・・・・なかった」

下を向いて、詰まりながらもカエデは言った。

カース「そんな言葉で、言い逃れできると思うなよ。
    お前は、反エクステンドのカエデ・ハーオウムという存在なんだ。
    ロクサスも、ロクサス・ホロウという存在だ」
ロクサス「俺という・・・存在」

そっと、ロクサスが呟いて繰り返す。

カエデ「・・・・・・」

その時、警報が鳴り響いた。

ザルバ「着たか・・・エクステンドのガーディアン」

モニターに映る、6人の姿を見て、ザルバが呟く。

カース「配置に付くぞ」

カースの後ろに、クロムとエルザが続く。
少し間をおいて、ロクサスもこの部屋を出た。

残ったのは、カエデとザルバだけだった。

ザルバ「カエデ・・・・・」
カエデ「私は・・・・私は・・・・反・・・エクステンド。
    反・・・エクステンドの・・・ラスト、ガーディアンだから・・・」

見られぬよう、涙を拭い、カエデも歩いてその部屋を出た。
部屋を出るカエデの手には、グリュンヒル・プリンセスが握られ、トライヴァルの緋衣を身に着けていた。


一方、大型転送魔法で、反エクステンドステーションへと転送された、エクステンドの6人。
既に、全員自分の手には愛用している武器を装備していた。

レドナ「行くぜぇっ!!」

その掛け声を合図に、全員反エクステンドステーション内部へと突入していった。
大きな門をくぐり、まず出迎えてくれたのは大量のガブリエルだった。

はやてが一歩前に出る。
デモンアルターを開き、アポカリプスを構える。
同時に、はやての足が地面から離れた。

はやて「天空より来たれ、闇を切り裂く銀の剣・・・・!」

夜空に、白い魔法陣が大きく展開される。

はやて「デモンセイヴァァーーーッ!!」

アポカリプスを振り上げると同時に、魔法陣の中から、白い閃光が舞い降りた。
鋭い閃光、轟音と、続けてなる。
その閃光は、一瞬にしてガブリエルの大群の8割を削った。
奥に突入していくのに障害となった残りのガブリエルを切り倒し、6人は司令室を目指し、駆け出した。
途中、レドナ、フィーノ、ヴァルニスと、はやて、シュレス、シルビアとの二手に分かれた。

少し行くと、見慣れたシルエットがあった。

レドナ「ちっ、コイツら相手か」
クロム「反逆者、ぶっ潰す!!」
エルザ「きゃはははっ!今日で終りぃ!!」

その奥に、もう1人、重要な人物が居た。

ロクサス「兄貴・・・・」
レドナ「ロクサス・・・・」

静かに、お互い背負っているものを理由に、見合う。
だが、その状態も、クロムとエルザに妨げられた。
重いパンチと、双剣の素早い攻撃が、レドナ達を襲う。

フィーノ「プロテクト!!」

フィーノが一歩前に出て、防御魔法を展開する。
攻撃は、バリアと鍔迫り合いを起こす。
その間に、ヴァルニスがバロックガンブレードで銃撃を行う。
2人は、すぐに後退した。
その間合いを、レドナの2本のグリュンヒルが詰め、斬撃を繰り出す。

クロム「ぐっ!」

クロムのメタルガントが、その攻撃を受け止めた。
レドナとクロムの間で武器を通し火花が散る。
クロムの馬鹿力で、レドナは少し怯んだが、すぐに宙を舞い、体勢を立て直した。
これにより、フィーノ、ヴァルニスと、レドナでクロムとエルザとロクサスを狭い通路で挟み撃ちする形となった。

ヴァルニス「レドナ!お前は先に行け!」
フィーノ「ここは私達でなんとかします!」
レドナ「・・・・・分かった、死ぬんじゃないぞ!!」
ロクサス「まてっ、兄貴!!」

ロクサスの制止を無視し、突っ走った。
悩む時間が無いと判断したレドナは、クロムとエルザとロクサスに背を向け、奥へと向かった。
2人なら、必ず奴等に勝てる。
そう、レドナは信じていた。

クロム「ふん、いい度胸だな!」
エルザ「ま、レドナが居なかったら、私達の勝利確定だねぇ~!」
ヴァルニス「俺たちを甘く見るなよ」
フィーノ「覚悟はできています!」
ロクサス「・・・・・!!」

一方、はやてたちは。

カース「こちら側には、お前達が来たか」
はやて「カース・・・・ヒィリスの仇、うちに来たで!」

はやてが、アポカリプスを強く握り締め、構える。

シルビア「ぜってーお前をぶっ倒す!!」
シュレス「我らの力、見せてやる!」

2人も、マグナムファイゼンと、ブラストルブレイバーを構える。

カース「ふん、いいだろう。
    デモンアルターもろとも、焼き払ってやる。
    デルバルス、カートリッジロード!!」

構えているデルバルスから、薬莢が落ちる。
同時に、刃が赤い閃光を放つ。
カースは、デルバルスを振り上げた。
その間、はやても、攻撃魔法を唱える。
無防備状態のはやての両サイドに、シュレスとシルビアが付く。

カース「はぁぁっ!!」

デルバルスを振り下ろす。
すると、切っ先が赤い魔力の結晶となり、はやてたちに向かっていった。
回避する間も無く、はやては唱えていた攻撃魔法を発動させた。
赤い閃光と、白い閃光がぶつかり合い、弾けてなくなる。
その間に、シルビアとシュレスは両サイドを走りぬけ、カースとの距離を縮めていた。

シルビア「おらぁっ!!」

シルビアの、マグナムファイゼンがカースを襲う。
それを、ジャンプしてかわす。

シュレス「てぇっ!!」

シュレスの、ブラストルブレイバーが、それを狙う。
刃が変形し、鞭状となり、所々からビームが放たれる。
デルバルスでそれを受け止め、カースは後方に着地した。
次に、着地した場所に、はやての魔法攻撃が降り注ぐ。

カース「さすが、デモンアルターの所持者だ。
    もう条件を満たしてくれた」
はやて「っ!?」

笑みを浮かべるカース。
その後方で、膨大な魔力が現れる。

シュレス「しまった、奴は我等の使った魔力の残りを吸収している!」
カース「はははぁぁっ!!
    これで終わりだ、ヒルベルト・・・・」

アズファスタの黒衣の後ろの魔力が、発動を今か今かと待ち構えている。

はやて「ほんなら、これはどうや?」

勝ち誇った笑みを浮かべ、はやてが挑発気味に言う。
すると、アズファスタが溜めていた以上の魔力が、デモンアルターを通し、はやてから流れ出る。
その魔力を、アズファスタが吸収する。

カース「ほぉ、俺に力を貸そうと言うのか。
    このアズファスタが魔力を吸収して――ぐっ!?」

カースが、地面に跪く。

はやて「それを知っててやってるんや。
    最大級の魔力増加能力を持つ、デモンアルターの魔力、それを吸収して耐え切れるかどうか・・・」
カース「ぐぅっ!・・・・ぐはぁぁ!!」

カースの後方で、魔力が暴れだす。
やはり、アズファスタでは、神の魔力を吸いきる事はできない。
暴れだした魔力が、徐々にカースを痛めつけてゆく。

カース「こ、こんなと・・・ころでぇぇっ!!!!」
シュレス「己の力に、潰れるがいい」

シュレスと、シルビアも魔力を放つ。
一方のアズファスタは、それを吸収しつくし、自滅していく。

カース「ぐぅおおおああああぁぁぁ!!!!」

苦痛に、狂気の悲鳴を上げる。
耳を劈くような悲鳴。
その悲鳴の中、はやてはゆっくりとアポカリプスを振り上げた。
デモンアルターを開き、唱える。

はやて「天空より来たれ・・・」
カース「嫌だ・・・まだ・・・まだ俺はぁ!!

頭上に、さっきとは小型であるが、感じられる魔力は同じ魔法陣が展開する。

はやて「闇を切り裂く銀の剣・・・・」

閉じていた目を、さっと開く。
同時にはやてが、アポカリプスを振り下ろした。

はやて「デモンセイヴァァーーーッ!!」
カース「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

白い閃光が、カースの体を引き裂いていった。
自分の力に負けた、敗者を消していった。

はやて「ふぅ、とりあえず難関突破やね」
シュレス「それにしても、よく気づきましたね。
     デモンアルターの魔力増加能力を利用するとは、さすがです」

感心したように、シュレスが言う。

はやて「あははは・・・・実はこの戦法、レドナ君に教えてもらったんよ」
シルビア「ちぇーっ、ほんとアイツ頭いいなぁ」

少し面白くなさそうにシルビアが言った。

はやて「さ、はやく行こう、まだザルバを倒さなあかん」

はやてがそう言うと、2人は頷き、さらに奥へと進んでいった。

to be next chapter


© Rakuten Group, Inc.